- 社会に知らせる価値があるか(ニュースソースになるか)
- 客観的視点で事実を伝えているか(宣伝に終始していないか)
ミュージアムとメディアリレーション
ミュージアムは営利のために運営されているわけではないことが多
- メディアへとの関わり方がわからない。
- プレスリリースの書き方がわからない。
- そもそも広報を担える人的リソースがない。
どう書くか、どうやって届けるか
プレスリリースは読み手の記者の状況やニーズを想定して書く
リリース文書はメディアの記者に読んでもらうものですから、ある程度の雛形のセオリーを守って書くべきです。記者も「プレスリリースはこういうお作法のもの」という意識があるので、あまりに雛形から逸脱した形式で作ってしまうと、読まれずにゴミ箱行きということになりかねません。読みやすく、短時間で情報が伝わるのが大事です。プレスリリースの雛形を簡単にまとめると下記のようになります。
- タイトル+サブタイトル
リリース内容を伝えるもの。超重要項目。ここだけしか読まれなくても伝えたい情報が盛り込まれるように工夫する。目安は各30字くらい。 - リリース内容を伝える写真・画像
例えば、企画展開催であれば、展示物の写真や毎年開催されるイベントなら前回の様子が分かる写真など。調査研究結果のお知らせであれば、データを示した図版・グラフなど。 - リード文
「いつ」「誰が」「どこで」「何を」「どうやって」など、5W1Hが分かるように端的に。本文の要約として。 - 本文
イベントであれば、その内容とともに、なぜその企画なのか、求められた社会的背景など、なるべく客観性を持って記述する。 - お問い合わせ先
リリースについての問い合わせ先を担当者名までしっかり記載する。
基本は上記5点で、全体をA4で1-2枚にまとめます。これにリリース発信者の情報(館の概要や紹介など)をつけることもあります。気をつけるべきは、企画者として書き始めると、つい自分が伝えたい物事を書くことがメインになってしまい、読み手の意識や状況が見えなくなってしまうことです。プレスリリースの読み手は記者なので、
- 読まれているたくさんのプレスリリースのうちの一つである。
- とにかく時間がないなかで記事を書くために読んでいる。
- テレビなら「画が撮れるか」、新聞・雑誌・ウェブメディアも「使える画像があるか」
- 記事にする上で確認事項がすぐにクリアにできるか(連絡が容易につくか)
という、記者側の状況やニーズを意識して作成し、送付できるといいです。「時間」というのが大事なキーワードで、短時間でしっかり情報が伝わるのが一番です。そのために、
- しっかりと「タイトル」「サブタイトル」を練る。
- 5W1Hを意識して、リード文に要点はまとめる。
という点はとにかく意識しましょう。
限られた時間の中ではタイトルだけしか見られないと思うくらいでちょうどいいです。タイトルに必要な情報はちゃんと盛り込む、目立つように文字のフォントや大きさ、改行も工夫する、など、タイトルは読み手目線で何度でも練りましょう。
タイトルで興味が持てれば、リード文までは読む、さらに記事化のイメージまで浮かべば本文もちゃんと読む、問い合わせしてみようと思うというように、数多くのプレスリリースのなかでサバイバルできる可能性もアップします。
あとはお問い合わせ先。専任の広報担当でもないのにメディアから直接連絡が来るなんて…と躊躇することもあると思いますが、記者は情報のウラを取るために時間をあまりかけてもいられません。媒体によって違いはありますが、入稿の〆切というデッドラインもあります。可能な限り、直接連絡が取れる携帯電話などを記載しておきましょう。直接担当者にいつでもコンタクトが取れるという安心感はメディアリレーションを作る上でプラスになります。
最近ではTwitterやInstagram、Facebookのダイレクトメッセージなどでもやりとりができるので、もし公開できる携帯番号がなく、館の公式アカウントがあるのであれば、時間外の連絡先としてSNSを記載するのもありかもしれません。
ミュージアムが発信する情報を求めている、活用できるメディアへ送ろう
インターネット上にはプレスリリースを配信するサービスがいくつもあります。こうしたリリース配信サービスを利用している企業はたくさんあります。リリース配信サービスを利用すると、とりあえずは色々なウェブポータルサイトに転載はされますが、そこから記事化に結びつくかというと、かなり確率は低いといえます。数多あるプレスリリースのなかからピックアップされるのは、悲しいかな海に漂うメッセージ入りの瓶が拾われるのと似ています。
なので、もし予算の関係などでリリース配信サービスが使えなくても、アプローチの方法は他にも考えられますし、やりようはいくらでもあります。メール・FAX・郵送・SNSなど、送付方法は複数ありますから。重要なのは、そのプレスリリースの情報がそのメディアにとって価値があるか、記事にできるか、です。
例えば、地方の博物館のワークショップの告知をリリースするとします。参加者は地域の住民を想定しています。近隣住民にその情報を届けるとすると、地方紙の文化面や、全国紙の地方面の編集部、地方のTV局、地域新聞やフリーペーパーなどが思い浮かびます。送付先を想定したら、そのメディアの連絡先を調べます。ウェブで編集局・編集部などの連絡先が公開されている場合もありますし、ウェブでは見つからなくても代表に問い合わせて、リリースの送付先を聞けば大抵快く教えてくれます。メディアが情報提供はいつでも歓迎!なのは当然ですからね。
送付先がわかったら、メールなり、FAXなり、郵送なりで、プレスリリースを送ります。最初は地域のメディアなど数社から始めて、送付先はリストアップしていきます。徐々にそのコンタクトリストが自分だけのメディアリストになっていくはずです。
ただし、プレスリリースする内容によって、メディア選定は変わってきます。ワークショップのお知らせは地域住民がターゲットで、それに合うメディアにリリースを送付したとします。次のリリースは歴史系の企画展の告知だったら、地域に強いメディアに加えて、歴史系のウェブメディアや雑誌などにコンタクトを取り、送付するなど、リリース一つひとつに対してメディアは丁寧にカスタマイズしましょう。最初は大変かもしれませんが、その情報の蓄積や経験は、ミュージアムと来館者をつなぐための、もう一つのしっかりとした糸に育っていくはずです。