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5月18日は国際博物館の日 -International Museum Day-

5月18日は国際博物館の日(International Museum Day)として国際博物館会議(Internaitonal Council of Museums -ICOM)が記念日に制定している日です。毎年これに合わせて世界中のミュージアムで様々なイベントやキャンペーンが実施されています。

国際博物館の日は、1977年5月18日にモスクワで開幕した国際博物館会議(ICOM)の第11回大会で、国際博物館の日を設ける決議が採択されたことが始まり。社会的な要請や博物館が果たす役割を勘案し、毎年テーマが設定されています。2019年のテーマはMuseums as Cultural Hubs: The future of tradition“(「文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ」)

ICOMのテーマの説明を読むと、社会の変化とその中でのミュージアムの役割というものを強く意識したものになっているようにみえます。ITの飛躍的な進化で人と情報は容易に繋がることができるようになり、経済は否応なく国境を超えて相互に作用し、世界中がほどくことはできない結びつきの中で回っています。対して国や地域、人種・宗教、世代や性別といった様々な軸の上で価値観が揺れ、時には衝突し、ナショナリズムやテロなどの強い現象を引き起こしているようにも思えます。だからこその“Museums as Cultural Hubs: The future of tradition”ー衝突や対立ではなく、多様な価値観と相互理解、新旧の時をつなぐ役割を文化というものが担うべき、その拠点・接点がミュージアムだ、というメッセージが感じられます。(ICOMのテーマ説明原文はこちら

2019年テーマをざっくりまとめると、

  • ミュージアムは収集、保存、コミュニケーション、研究、展示などを行う文化施設としての本来の使命とともに、地域社会により近く寄り添うべく実務を変革していく。
  • 地域社会の文化施設として、グローバルな問題に関与し、軽減に努め、今日の社会の課題に積極的に対処する。
  • 文化間の対話を確立し、平和な世界への架け橋を構築し、そして持続可能な未来を定義する力を発揮する。
  • 地域社会の拠点であると同時に、世界規模のネットワークの一員となる。地域のニーズやものの見方を世界規模の文脈につなげる役割を果たす。

地域と世界、平和と持続可能な未来がキーワード。持続可能性は国連のSDGsなどと通じますね。これはサステナビリティ経営、ESG投資など、ビジネス界でもおなじみになった世界的トレンドキーワードと言えます。国連も、経済界も、文化施設もサステナビリティ…つまりは、このままの形では持続できないんじゃないか?未来に向かうには今までとは違うアプローチをしなければならないんじゃないか?と様々なフィールドの人々が感じていて、その方法を模索しているのが今という時代。そういう意味では、ミュージアムも社会的な変革期にどう関わっていくか問われているのだと思いました。

2019年のテーマには、ミュージアムは今日の社会課題に積極的に関与する、そのために実務も変えていく、より深く、広くつながっていくネットワーク志向が強く打ち出されています。個人的には、日本語版の「文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ」というのがちょっと物足りません。「つなぐ」に加えて重要な、平和や未来のための社会課題への取り組みや変革という点が日本語だととりこぼされている感じなのが残念で…

国際博物館の日キャンペーンのグローバルな展開をICOMサイトで見ると、ヨーロッパのミュージアムは357施設、北中米で6施設、南米が6施設、中央アジア・インドで4施設、中国・韓国・台湾で12施設、東南アジアが2施設、オーストラリアから4施設が参加。日本からは5施設が参加していることになっています。

とはいえ、日本語のサイトで今年の国際博物館の日関連の情報を検索すると、関東で18施設関西で13施設、他地域の施設でも何らかのキャンペーンを行なっているものが見つかるので、ICOM公式情報と各地での開催情報はちょっとズレがありそうです。ICOMは会員施設しか把握していないからかな?ヨーロッパの357施設はすごいけれど、北中米の6施設はちょっと意外です。ローカルキャンペーンはやっていてもICOMは把握していないというパターンかもしれませんが。アジアでは台湾が8施設と頑張っている印象があります。

1946年に設立されたICOMですが、アジア展開は21世紀に入ってから本格化しているので、実はさほど日が経っていないともいえます。(ICOMの歩みはこちら)アジアで初めて国際大会が開催されたのは2004年のソウル大会、その後2010年の上海EXPOなどを通じて、アジアへの展開を積極化。さらに今年の国際大会の開催地は京都ですし、一層のアジア展開の活発化が期待されます。日本、アジアのミュージアムもこういうグローバル・キャンペーンに活動を登録する施設が増えてくれば、存在感ももっと示せそう。

9月に京都で開催されるICOMの世界大会のテーマも“Museums as Cultural Hubs: The future of tradition”(「文化をつなぐミュージアム―伝統を未来へ」)。日本では初開催になるICOMの大会、一般参加もできるようなのでぜひ行ってみたい!(国際博物館会議京都大会 公式サイトはこちら)全日程は難しいから、1−2日でも。

 

 

 

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