ミュージアムの広報・マーケティングに役立つ情報を | Voice of Museums

ヨーロッパ博物館大賞2019が発表!

42年の歴史あるミュージアムに対する賞

5月25日にボスニア・ヘルツェゴヴィナのサラエボで今年のヨーロッパ博物館大賞(The European Museum of the Year Award (EMYA))が発表されました。本賞は1977年から毎年開催されている歴史ある賞で、大賞の他、4つの賞があり、合わせて5つの賞で構成されています

  • THE EUROPEAN MUSEUM OF THE YEAR AWARD(ヨーロッパ博物館大賞)
  • THE COUNCIL OF EUROPE MUSEUM PRIZE(ヨーロッパ博物館評議会賞)
  • THE KENNETH HUDSON AWARD(ケネス・ハドソン賞)
  • THE SILLETTO PRIZE(シレット賞)
  • THE PORTIMÃO MUSEUM PRIZE – EUROPE’S MOST WELCOMING MUSEUM(ポルティマオ博物館賞)

本賞はThe European Museum Forum(EMF)とEuropean Museum of the Year Award(EMYA)によって開催・運営されています。EMFは企業からの寄付によりイギリスで設立されたNPOで、EMYAに法的に認めれるよう組織の枠組みを提供しています。EMFとEMYAはヨーロッパにおいて、博物館研究の質の向上、イノベーションの促進、持続可能な事例やアイデアの交換や交流の進展に尽力しています。本賞もその一環として、大きな役割を果たしています。

エントリーの条件と選考プロセス

THE EUROPEAN MUSEUM OF THE YEAR AWARD(ヨーロッパ博物館大賞)とTHE COUNCIL OF EUROPE MUSEUM PRIZE(ヨーロッパ博物館評議会賞)のエントリーの条件は以下の通りです。

  • 新規に設立された、または継続してリニューアルされている館であること
  • 企画展もしくは期限のある常設展を対象とし、審査員による来館審査(夏〜初秋)の際に開催されており、翌年の6月末までアクセスが可能であること
  • エントリー時点で3年以上開館、開催されている展示は対象外
  • 前回のエントリーから3年以内の個人ミュージアム、個人企画展については申し込み不可(ただし、分館によるエントリーは可)

必要書類

図版・写真(最大20枚)

JPEG形式で最大20枚のデジタル画像。 これらの画像は300 dpi以上で、サイズは1000 x 1000ピクセル以上。 画像ファイルは再生および投影に適した品質でなければならず、各画像には中身のわかる固有のファイル名を付ける必要があります。 画像には、博物館の少なくとも1つの外観図と、ギャラリーや活動の概観図を含める必要があります。 個々の商品の画像は必要ありません。

これらの画像は、年次候補者のパンフレットにセレクションを掲載するなど、さまざまな方法でEMFによって使用されます。 画像は良質で、著作権がなく、EMYAの年次出版物およびEMF Webサイトで使用できるものでなければなりません。

その他関係するデジタル資料

博物館のチラシ、パンフレット、カタログや、関連する掲載記事の一部などの電子版を合わせて提出することができます。

全てのデータを一つのフォルダにまとめ、ファイルシェアリング可能なサイトにアップロードし、少なくともエントリー後1ヶ月間は事務局がダウンロードできる状態にしておくこと。提出する資料のリストを添付すること。
(すべての紙および電子資料は、審査が行われた後もEMFアーカイブに保存されます。 アーカイブはポルトガルのMuseu dePortimãoで公開されます。)

選考プロセス

  1. 申込書と提出資料の審査
  2. 書類選考を通過した館への審査委員の訪問審査(夏〜初秋)
  3. 11月に審査委員による会合で候補館リストを発表
    (初回訪問後、他の審査委員が覆面審査のため来館する場合もあります。)
  4. 候補館による年次カンファレンスでのプレゼンテーション
  5. カンファレンス最終日のパーティーで大賞受賞館発表

THE COUNCIL OF EUROPE MUSEUM PRIZE(ヨーロッパ博物館評議会賞)については、EMYA審査委員会会議中に、欧州評議会議会の文化科学教育委員会の代表がパネルに加わり、候補者について検討され、上位3つの推薦館が決定されます。 委員会はこの候補リストをもとに、12月にヨーロッパ博物館評議会賞の受賞者を発表します。

1月にはEMYAの申請者全てに対し、候補館リストに残ったかどうかを知らせる手紙が送付されます。 候補者は春の授賞式に招待され、そこで受賞者はGrand Awardsプレゼンテーションイベントで発表されます。

詳しい選考プロセスはこちら

 

それでは、今年の受賞館と賞の概要を紹介していきましょう。

ヨーロッパ博物館大賞(THE EUROPEAN MUSEUM OF THE YEAR AWARD)

2019年の大賞は、オランダ・ライデンのRijksmuseum Boerhaave

科学と薬学をテーマにした国立のサイエンス・ミュージアムです。リニューアル後の展示で大賞を受賞しました。

受賞の様子

EMYA WINNERS: 2019: Rijksmuseum Boerhaave Leiden, Netherlands

ヨーロッパ博物館評議会賞(THE COUNCIL OF EUROPE MUSEUM PRIZE)

2019年のヨーロッパ博物館評議会賞は、スイス・ベルンのMuseum für Kommunikationが受賞!

メディア・リテラシーを促進する独創的な方法で評価されました。物を展示するだけでなく、社会的な相互作用、新しい関係、そして創造的なプロセスを提示することに挑戦しています。現代の文化、歴史、政治におけるコミュニケーションという課題に取り組んだことが受賞の理由とのこと。(どんな展示なんだろう?見てみたい)

受賞の様子

ものすごく嬉しそうです。

the Council of Europe Museum Prize; THE MUSEUM FÜR KOMMUNIKATION, BERN, SWITZERLAND
the Council of Europe Museum Prize 2019; THE MUSEUM FÜR KOMMUNIKATION, BERN, SWITZERLAND

ケネス・ハドソン賞(THE KENNETH HUDSON AWARD)

2019年のケネス・ハドソン賞はオーストリア・ウィーンのTHE WELTMUSEUMが受賞!

ケネス・ハドソン賞は、社会におけるミュージアムの役割についての常識に対し、最も果敢にかつ大胆に挑戦した間に授与されます。

Weltmuseumはコレクションに埋め込まれたジレンマを認め、地球の文化的豊かさを祝い、人権、統合、そして異文化間の共存を尊重する現代美術館として、植民地時代の過去に立ち向かい、あるいは21世紀に続くその遺産に取り組み、新しいアイデンティティの創造に挑戦していることが評価されました。

シレット賞(THE SILLETTO PRIZE)

2019年のシレット賞はStrandingsmuseum St. Georgeが受賞!

シレット賞は、地域コミュニティと協力し、ボランティアを巻き込む取り組みを評価する賞です。

Strandingsmuseum St. Georgeは館の創設と運営の中心となってきた地元のコミュニティとの深い関わりと、説得力のあるストーリーテリング、エレガントなプレゼンテーションなどが評価されました。(受賞の様子はこちら

ポルティマオ博物館賞(THE PORTIMÃO MUSEUM PRIZE)

2019年のポルティマオ博物館賞はイギリス・ブリストルのBRUNEL’S SS GREAT BRITAINが受賞!

ポルトガルのポルティマオ市が後援している賞で、ヨーロッパで最も来館者を歓迎し、楽しい雰囲気で包んでいることが評価ポイントです。ミュージアムのすべて、館内およびその周辺でのイベントや活動が一体となって歓迎する空気を醸成している館に贈られます。

BRUNEL’S SS GREAT BRITAINは驚きがあること、真実であること、魅力的であること、すごいと思わせること、よい関係性が築けることを大切にしています。 館の目指す姿が、しっかりとトレーニングされた熱心なスタッフとボランティアによって、来館者に提供される歓迎の質として現れていることが高く評価されました。(受賞のニュースはこちら

 

展示の切り口や、運営の質など、多角的なポイントで評価される5つの賞。42年も続いていると、その歴史をたどるだけでヨーロッパのミュージアムの足跡と時代の流れをつかむことができそうです。時間を見つけて、過去の受賞館などもチェックしてみたいですね。

 

今回はこの辺で。

最新情報をチェックしよう!